パリで自転車に乗る前は、市内の移動は地下鉄かバスで十分だと思っていた。
どちらも安いし、観光客でも使いやすい。疲れていればタクシーもある。ただ、バスとタクシーは道路が混むと動かない。地下鉄は早いけれど、混んだ車内では財布やスマートフォンが気になって、どうしても少し身構えてしまう。
それなら自転車はどうだろうと思い、今回使ってみたのがLimeの電動自転車だった。
先に書いておくと、すべての移動を自転車にすればいいとは思わない。雨の日もあるし、大きな荷物を持っている日もある。ただ、天気がよくて、数km先まで移動したい日にはかなりよかった。
便利だったというだけではない。今回の旅行で、街を走っていた時間そのものが意外なほど記憶に残っている。
Limeは、思っていたより簡単に使えた
Limeは、パリの街中に置かれている緑色の電動自転車だ。利用するには、まずスマートフォンへLimeアプリを入れる。
海外のレンタル自転車なので、登録が面倒なのではと思っていたが、基本的にはアプリの案内に従うだけだった。
私が登録したときは、最初に安全な乗り方についてのテストが10問出てきた。交通ルールや安全確認についての簡単な内容で、それほど時間はかからなかった。
そのあと、クレジットカードやApple Payなどの支払い方法を登録すれば準備は終わり。アプリの地図から近くの自転車を探し、車体のQRコードを読み取るとロックが外れる。
乗る前には、ブレーキ、タイヤ、ライト、バッテリー残量を確認した。目的地に着いたら、アプリに表示される指定の駐輪場所へ停めて返却する。どこにでも置けるわけではないので、到着前に返却場所を見ておいたほうがいい。
凱旋門近くから、パリ東駅まで
今回走ったのは、凱旋門近くのホテルからパリ東駅まで。モンソー公園の近くを通り、街の北側を東へ進むルートだった。
走り出す前は、正直なところ少し怖かった。車が多いことは分かっていたし、信号や道路のルールも日本と同じではない。
最初のうちは、周りを走っている自転車の動きを見ながら進むだけで精一杯だった。それでも、しばらく走ると少しずつ流れが分かってきた。電動なので、力を入れ続けなくても進んでくれる。
そして、顔を上げると両側にパリの建物が続いている。
カフェの前に座っている人がいて、交差点を自転車が何台も横切り、その向こうをバスが通っていく。地下鉄に乗っていたら、ここは丸ごと見えなかった。
バスの窓から眺める景色とも少し違う。自転車は街との距離が近い。音も聞こえるし、建物の間を抜けていく空気も感じる。移動しているのに、ずっとパリを観光しているようだった。
水曜日の夕方、車道は詰まっていた
下の写真は、水曜日の夕方に凱旋門付近を通ったときのもの。
写真の左側を見ると、車が列になっている。タクシーやバスに乗っていたら、この列の中にいたはずだ。
その横で、自転車道は驚くほど空いていた。混雑している車の横を、自転車ではそのまま進んでいける。これは実際に走ってみないと、なかなか実感できない違いだった。
街灯に照らされた凱旋門もきれいだった。目的地へ急いでいたはずなのに、このあたりでは「もう少し走っていたい」と思った。
ただし、凱旋門周辺は車も歩行者も多く、動きが複雑だ。自転車道が空いているからといって、安心して飛ばせる場所ではない。信号と周囲を見ながら、分からない場所では無理をしないほうがいい。
自転車道は多い。でも、油断はできない
パリでは、大きな道路でも車と自転車の走る場所が分かれているところが多かった。日本で自転車に乗るときより、走る場所に迷わない場面も多い。
パリ市の2025年実績では、自転車が通行できるルートは1,607kmある。ただし、これはすべてが自転車専用道という意味ではない。交差点では車、バス、自転車、歩行者が一度に動く場所もあり、慣れるまでは注意が必要だった。
走りながらスマートフォンを見るのも危ない。ルートが分からなくなったら、安全な場所で一度停まり、地図を確認する。ヘルメットも、用意できるなら着けたほうが安心だと思う。
自転車を返すときの駐輪場所も忘れやすい。駅へ着いてから探すのではなく、近くまで来たところでアプリを確認しておくと慌てずに済む。
料金・安全情報の確認先
※料金・サービス内容は変更される場合があります。利用前にLimeアプリで最新情報をご確認ください。
